TAX基礎講座:
1. TAXコンサルティングとは?

Tax Learning

KPMG税理士法人 KPMG税理士法人
この講座では、TAXコンサルタントの仕事を紹介していきたいと思います。なかなか想像がしにくいTAXコンサルティングの世界ですが、そこには国際的でダイナミックな仕事が広がっています。
「TAXコンサルティング講座」では様々な視点からTAXコンサルティングの仕事を紹介していきます。税に関する高い専門性を活かし、クライアントの課題解決を実現していく醍醐味を感じてください。
税務戦略を通じて日本企業の成長に貢献する

従来の日本企業は「目標利益の達成後には税金を納めるべき」との考えが一般的でした。これは、納税とは社会的な義務であるとの意識が強いことの現れで日本独特のものです。株主へのリターンの最大化を強く求められている欧米企業では「税引き後の利益」を最大化することが必須であり、税務戦略は重要な企業戦略の一環として位置づけられています。日本と欧米では以下の様な違いがあるといわれています。

欧米先進企業と日本企業との違い
  欧米先進企業 日本企業
会社は誰のもの? 株主のもの 社会性を有するもの
経営指標はどこに注目? 税引後利益に注目 営業利益に注目
税金の捉え方は? 管理すべきコスト 利益の結果として支払うもの
海外子会社のTax管理 本社CFOもしくはCTO 海外子会社任せ
税務戦略は? 企業戦略の一部 税務戦略が希薄

国が異なれば、文化や考え方が異なり、その文化や考え方はビジネスの慣習にも影響を与えます。
技術やサービスの面では先端をいく日本企業ですが、税務の分野では先進的な取り組みを行っているのでしょうか。答えは、NOです。
一部を除いて、日本企業には日本独自の考え方が浸透しているという事実があります。しかし、ビジネスのグローバル化に伴い、多くの日本企業が海外で事業を展開する今、海外企業の優れた税務戦略に後れを取るわけにはいきません。国をまたいだ二重課税のリスクやM&Aに伴う想定外の課税リスクなどに備えるためにも、よりグローバルな基準でのTAXコンサルティングの重要性が高まってきています。
国際的に事業を展開する企業には、今まさに税務戦略構築が求められています。日本本社がグローバルに税を管理することで、キャッシュフローは改善され、より戦略的な投資が行えるようになるでしょう。クライアントのパートナーとして日本企業の成長に貢献することが、TAXコンサルティングの醍醐味です。

KPMG税理士法人

日本企業が海外進出する際、支店などの恒久的施設を置くと現地当局から課税されることとなり、その際の税負担をいかに抑えるかのアドバイスを行います。さらに現地で得た利益を別の国での事業に投資する際、どのような形態が最も投資効率が高くなるかという提案も行います。海外展開を行う企業全体で利益の最適化を図っていくというグローバルな視点が必要とされます。


日本企業の海外進出に際して増えているのが、海外企業とのM&Aです。その際、想定外の税金が課せられるというリスクへの備えが必須となります。そこで、最適なストラクチャー(M&Aの手順・手法)の構築を通じて、課税リスクを抑えつつ、クライアントの海外展開をサポートすることがTAXコンサルタントの役目となります。日本企業の成長への貢献を通じて社会の経済的発展に携われるというやりがいが得られます。


企業が社会環境の変化に対応するために、組織の統合や分割が行われますが、その際に組織再編税制の適用を通じて税負担を最小化する提案を行います。これを組織再編コンサルティングと呼びます。特に海外の企業を巻き込んだ組織再編の場合、日本にはない税制が適用されるケースもあるので注意が必要です。今後、企業の組織再編はさらに増えていくと考えられ、TAXコンサルタントの活躍の場も広がっていくことでしょう。


日本の親会社から海外の子会社に製品を輸出する際の価格が「移転価格」です。その価格が適正でないと判断されると税の修正申告を求められる恐れがあります。こうした想定外の税負担は経営上の大きなリスクになるので、適正な移転価格を設定することが重要となります。TAXコンサルタントはクライアントに代わって各国税務当局との事前協議などを行い、修正申告のリスクを最小限に抑えます。


グローバルビジネスを展開している企業では日本から海外拠点への人材の異動、あるいは海外本社から日本法人への人材の異動など、国境を越えた人材の行き来が日常的に起きています。これに伴い企業の人事部門が検討すべき課題が多く生じています。KPMG税理士法人ではいち早くニーズを掴み、人事向け税務コンサルティングという新しいマーケットにおいてソリューションを提供しています。